感謝の記録で気づく、周りの支え。受験期の不安を和らげる方法
受験勉強中の「見えない不安」にどう向き合うか
大学受験を目指して勉強に取り組む日々は、決して楽なことばかりではないかもしれません。思うように成績が伸びなかったり、周りの友達が進んでいるように見えたり、将来への漠然とした不安を感じたりすることもあるでしょう。特に一人で机に向かっていると、孤独感や焦燥感に襲われることも少なくありません。
そんな時、「自分は一人じゃない」と感じられる心の支えがあることは、勉強を続ける上で非常に重要です。しかし、忙しさの中で、つい自分のことばかりに精一杯になり、身近な人の存在やその支えに気づきにくくなってしまうこともあります。
実は、こうした受験期の不安や孤独感を和らげ、前向きな気持ちを保つために、「感謝の記録」が役立つことがあります。特に、自分を取り巻く「周りの支え」に意識を向けることは、心の安定に繋がりやすいのです。
なぜ周りへの感謝が受験期のあなたを助けるのか
感謝の感情は、私たちに様々なポジティブな影響をもたらすことが心理学の研究でも示されています。中でも、「周りの人への感謝」は、受験というプレッシャーのかかる時期において、特に次のような効果が期待できます。
- 心の安定と安心感: 家族が毎日温かい食事を用意してくれたり、友達が励ましの言葉をかけてくれたり、先生が質問に丁寧に答えてくれたり。こうした日常の中にある小さな支えに気づき、感謝することで、「自分は大切にされている」「見守られている」という安心感が生まれます。これは、孤独感や不安を和らげる強力な力となります。
- ポジティブな視点の獲得: 勉強が進まないことや失敗にばかり目が向きがちな時、意識的に周りの良い点や、自分が受けたサポートに目を向けることで、物事を多角的に、よりポジティブに捉えることができるようになります。
- 人間関係の肯定的な強化: 感謝の気持ちを持つことは、周りの人との関係性をより良いものにするきっかけにもなります。直接感謝を伝える機会がなくても、心の中で感謝するだけでも、その人への肯定的な感情が育まれ、関係性の支えになります。
- モチベーションの維持: 自分を支えてくれる人たちのために頑張りたい、という気持ちは、勉強を続ける上での強い原動力の一つになります。感謝の気持ちが、目標達成への意欲を再び燃やしてくれることがあるのです。
受験期の「周りの支え」を見つける感謝の記録の具体的なやり方
では、具体的にどのように感謝の記録をすれば良いのでしょうか。受験勉強の合間にも短時間でできる、手軽な方法をご紹介します。
1. 記録するタイミングを決める
特別な時間を作る必要はありません。 * 勉強を始める前や終えた後 * 寝る前の数分間 * 休憩時間 など、自分のペースで続けやすいタイミングを選びましょう。例えば、毎日寝る前に3分だけ、と決めてしまうのも良い方法です。
2. 感謝の対象を意識する
「周りの支え」に焦点を当てるのがポイントです。具体的に、今日の出来事を振り返り、次のような人たちからのサポートを思い出してみましょう。 * 家族: 弁当を作ってくれた、送迎してくれた、黙って見守ってくれた、体調を気遣ってくれたなど。 * 友人: 一緒に勉強した、励まし合った、面白い話で気分転換させてくれた、情報を共有してくれたなど。 * 先生: 質問に答えてくれた、相談に乗ってくれた、授業で分かりやすく教えてくれた、励ましの言葉をくれたなど。 * その他: 塾のスタッフ、志望校の先輩、SNSで役立つ情報を発信している人など。
特定の誰かに限らず、「今日利用した公共交通機関の運転手さん」「雨の中、傘をさしてくれた見知らぬ人」といった、直接的な関わりが少なくても、自分が受けた恩恵に気づくことも感謝の対象となります。
3. 短く具体的に記録する
ノートでも、スマートフォンのメモアプリでも構いません。箇条書きで、短く具体的に書き出してみましょう。完璧な文章にする必要はありません。
記録の例:
- お母さんが夜食を作ってくれた。温かくて美味しかった。
- 数学の質問に〇〇先生が分かりやすく答えてくれたおかげで理解できた。
- 友達の〇〇が「頑張ろうね」と声をかけてくれた。嬉しかった。
- 今日乗った電車が遅れずに時間通りに来てくれた。
- 近所のコンビニの店員さんが笑顔で接してくれた。
このように、誰が、何をしてくれたのか、そしてそれに対して自分がどう感じたのかを記録すると、より効果的です。
4. 感じたことを大切にする
記録する行為そのものが大切ですが、書いている最中や書き終わった後に心に浮かぶ温かい気持ちや安心感を意識してみましょう。「ありがたいな」「自分は一人じゃないんだな」と感じるその瞬間を大切にすることで、感謝の感情が深まります。
感謝の記録を続ける中で見えてきた変化:受験生の体験談
感謝の記録を続けた受験生の中には、具体的な変化を感じた人もいます。
ある受験生は、「成績が伸び悩んで家族に当たってしまいそうになった時、ノートに『お父さんが何も言わずに参考書を買ってくれた』と書いたら、申し訳ない気持ちと同時に感謝の気持ちが湧いてきて、少し冷静になれた」と話しています。また別の生徒は、「友達と成績を比べて落ち込んでいた時、『〇〇が休み時間に面白い話をして笑わせてくれた。おかげで気が紛れた』と書いたら、ライバルであると同時に、かけがえのない友達でもあることに気づき、少し心が楽になった」と語っています。
もちろん、感謝の記録を始めたからといって、受験の不安がゼロになるわけではありません。計画通りに進まない日もあるでしょう。しかし、そんな時でも、「今日、友達が励ましてくれた」「家族が応援してくれている」といった感謝の記録を振り返ることで、「それでも自分は大丈夫だ」「味方がいる」と再認識でき、立ち止まらずにまた一歩踏み出す力になることがあります。
まとめ:感謝の記録で心の支えを確かなものに
受験期は、自分の力だけで乗り越えているように感じがちですが、実際には多くの人たちの支えがあってこそ、日々の勉強に励むことができます。感謝の記録は、そうした「見えない支え」に気づき、それを確かな心の拠り所にしていくためのシンプルで効果的な方法です。
たとえ数分でも構いません。今日の出来事を振り返り、「誰に、どんなことについて感謝できるだろう」と考えてみてください。そして、それを書き出してみましょう。この小さな習慣が、受験期の大きな不安を和らげ、あなたを強く支えてくれるはずです。感謝の力を味方につけて、目標に向かって着実に進んでいきましょう。