落ち込んだ気持ちを切り替える。受験生のための感謝の記録活用法
受験勉強中に落ち込むことはありませんか
大学受験という目標に向かって日々努力を続けている中で、時には思うように勉強が進まなかったり、模試の結果に落ち込んだり、周りの友人と比較して焦りを感じたりすることもあるかもしれません。受験期には、ネガティブな気持ちになったり、モチベーションが下がったりすることは決して珍しいことではありません。むしろ、多くの方が経験することです。
このような時、どのようにして気持ちを切り替え、前向きな気持ちで勉強を続けられるかが、受験を成功させるための重要な鍵となります。今回は、感謝の記録が、つらい時や落ち込んだ時の気持ちの切り替えにどのように役立つのか、具体的な活用法と共にご紹介します。
なぜ受験期には心が揺れやすいのでしょうか
受験生が感情的に不安定になったり、落ち込んだりしやすいのにはいくつか理由があります。
- 成績の波や伸び悩み: 一生懸命勉強しているのに、成績がすぐに上がらない、あるいは一時的に下がってしまうといった経験は、大きな落胆につながることがあります。
- 計画通りに進まないことへの焦り: 立てた勉強計画通りに進まない時、「このままで間に合うのだろうか」という不安や焦りが生まれ、自己嫌悪に陥ることもあります。
- 周りの友人との比較: 友達の進捗状況や成績が気になり、自分と比較して「自分は遅れているのではないか」と感じてしまうことがあります。
- 睡眠不足や疲労: 物理的な疲労や睡眠不足も、精神的な落ち込みやイライラを引き起こす原因となります。
このような状況で、ネガティブな感情に囚われすぎると、さらに勉強への集中力が低下し、悪循環に陥ってしまう可能性があります。
感謝の記録が落ち込んだ気持ちの切り替えに役立つ理由
感謝の記録は、単にポジティブな出来事を書き出すだけでなく、落ち込んだ気持ちを切り替えるためのツールとしても非常に有効です。これにはいくつかの心理的な理由があります。
- 視点の転換: 落ち込んでいる時、私たちの意識は「できていないこと」「足りないこと」「失ったこと」といったネガティブな側面に集中しがちです。感謝の記録をつけることで、意識的に「今あるもの」「できていること」「支えられていること」といったポジティブな側面に目を向ける訓練になります。この視点の転換が、ネガティブな思考のループから抜け出すきっかけを与えてくれます。
- 自己肯定感の向上: 受験期は、どうしても自分の欠点や弱点に目が行きやすい時期です。感謝の記録の中で、たとえ小さなことでも「今日できたこと」や「頑張ったこと」を見つけて認めたり、「誰かに助けられたこと」を認識したりすることは、自己肯定感を高めることに繋がります。「自分は価値のある存在だ」「一人ではない」と感じられることは、落ち込んだ気持ちを立て直す上で非常に重要です。
- ストレス軽減効果: 感謝の気持ちを感じることは、コルチゾールのようなストレスホルモンの分泌を抑える効果があると言われています。また、ポジティブな感情は心理的な回復力を高めることが研究で示されています。感謝の記録を通じて小さな幸せや恵みに気づくことは、受験期の精神的な負担を和らげる助けとなります。
- コントロール感の回復: 落ち込んでいる時は、状況をコントロールできないと感じることがあります。しかし、「感謝していることを書き出す」という行動は、自分自身の意思で行えることです。この「書く」という小さな行動を通じて、状況を少しでも自分でコントロールできているという感覚を取り戻し、無力感を軽減することができます。
落ち込んだ時に試したい具体的な感謝の記録活用法
落ち込んだ時に感謝の記録を始めるのに、特別な準備や長い時間は必要ありません。短時間でできる簡単な方法から試してみてください。
- 「今、感謝できる小さなこと」を3つだけ書き出す:
- 勉強の合間に、あるいは気分が落ち込んだ時に、ノートやスマートフォンのメモ機能に「今、ありがたいな」と感じることを3つだけ書き出します。
- 例えば、「温かい飲み物が飲める」「好きな音楽が聴けた」「家族がご飯を作ってくれた」「参考書が見やすい」「友達から励ましのメッセージが届いた」など、どんなに些細なことでも構いません。
- 書く前に、一度深呼吸をして気持ちを落ち着けてから行うと、より効果を感じやすい場合があります。
- 「今日できたこと」を1つだけ見つけて記録する:
- その日一日を振り返り、「これはできた」と自分で認められることを一つだけ見つけます。
- 例えば、「英単語を10個覚えた」「数学の問題を1問解けた」「〇〇先生に質問できた」「早く起きられた」「苦手な科目に少しでも取り組めた」など、目標達成度に関わらず、行動したことや努力した過程に焦点を当てます。
- 勉強に関することだけでなく、「部屋を片付けた」「散歩に行った」など、気分転換のためにやったことでも良いでしょう。「何もできなかった」と感じる日でも、「ベッドから起き上がれた」「ご飯を食べた」など、生きるために必要な基本的な行動にも感謝の気持ちを見出すことは可能です。
- 「感謝したい人」を一人思い浮かべ、その理由を一行書く:
- 家族、友人、学校の先生、塾の先生など、誰か一人、感謝したい人を思い浮かべます。
- そして、「なぜその人に感謝しているのか」を一行だけ書き出します。
- 「お母さん、美味しいご飯ありがとう」「友達の〇〇さん、話を聞いてくれてありがとう」「〇〇先生、分かりやすい解説ありがとう」など、具体的に書くことで、感謝の気持ちがより明確になります。
これらの方法は、どれも数分あればできるものです。落ち込んだ時に「よし、感謝の記録をやってみよう」と決めて取り組むことで、ネガティブな感情から意識をそらし、前向きな気持ちへの切り替えを促す効果が期待できます。
感謝の記録を実践した受験生の体験談
実際に感謝の記録を実践した受験生の中には、その効果を実感している人も多くいます。
ある受験生は、模試の結果が散々でひどく落ち込んでしまい、「もうダメだ」と全てを投げ出したくなったそうです。その時、以前読んだ記事を思い出して、スマートフォンのメモに「今、感謝できること」を無理やり3つ書き出してみたといいます。「朝ごはんを食べられたこと」「暖かい部屋で勉強できること」「まだ受験まで時間があること」。最初は 형식だけのように感じたそうですが、書き終える頃には少し心が落ち着き、「まだ頑張れるかもしれない」という気持ちが湧いてきたと話していました。
また別の受験生は、毎日感謝ノートをつけるのは難しかったそうですが、周りの友達と自分を比べて焦りを感じた時に、ノートを開いて「自分にはどんな良いところがあるか」「今日、自分はどんな努力をしたか」を書き出すようにしたそうです。他の人と比較するのではなく、自分自身に目を向けることで、必要以上に焦る気持ちが和らぎ、自分のペースで努力を続けようと思えるようになった、と体験を語ってくれました。
これらの体験談のように、感謝の記録は、万能薬ではありませんが、落ち込んだ気持ちに光を当て、前向きな一歩を踏み出すための助けとなり得ます。
まとめ
受験勉強中に落ち込んだり、ネガティブな気持ちになったりすることは、誰にでも起こり得ることです。そのような時、感謝の記録は、視点を転換し、自己肯定感を高め、ストレスを軽減することで、気持ちを切り替える有効な手段となり得ます。
「今、感謝できる小さなこと」を3つ書き出す、「今日できたこと」を1つ見つける、「感謝したい人」とその理由を一行書く、といった簡単な方法から、ぜひ試してみてください。完璧に毎日続ける必要はありません。つらい時、心が折れそうな時にこそ、感謝の記録を思い出して活用してみてください。
感謝の記録は、あなたの受験勉強を支え、目標達成に向けた道のりを、より穏やかで力強いものにしてくれるはずです。あなたの努力が実を結ぶことを応援しています。