受験勉強がうまくいかない時こそ。感謝の記録で前向きに乗り越える方法
受験勉強の道のり、うまくいかない時もある
大学受験に向けて日々努力されていることと思います。勉強計画を立て、目標に向かって進んでいく中で、常にすべてが順調に進むわけではありません。模試の結果が期待通りでなかったり、特定の科目がどうしても理解できなかったり、あるいは体調を崩してしまったりと、「うまくいかないな」と感じる瞬間は誰にでも訪れるものです。
そんな時、不安や焦りを感じ、モチベーションが下がってしまうこともあるでしょう。周りの友達が順調に進んでいるように見えて、自分だけが立ち止まっているように感じてしまうこともあるかもしれません。
しかし、こうした「うまくいかない時」をどう乗り越えるかが、受験の成功を左右すると言っても過言ではありません。そして、実はこのような困難な状況でこそ、「感謝の記録」があなたの大きな力となる可能性があります。
なぜ「うまくいかない時」に感謝の記録が役立つのか
ネガティブな状況にある時、私たちの意識はどうしても「できていないこと」「足りないもの」に集中しがちです。これは人間の自然な反応ですが、この状態が続くと、自己否定感や無力感に繋がり、さらにモチベーションを低下させてしまう悪循環に陥る可能性があります。
ここで感謝の記録を取り入れることには、次のような心理的なメリットがあります。
- 視点を変える練習になる うまくいかない状況の中にいても、全く何も良い点がないということは稀です。感謝の記録は、「困難な状況の中でも、ありがたいと思えることは何か?」と意識的に探すトレーニングになります。これにより、問題点だけでなく、既に持っているものや支えられていることに目を向けられるようになります。
- 感情の整理と客観視を促す 感謝の気持ちを書き出すことで、心の中のネガティブな感情だけでなく、ポジティブな感情にも意識を向けることができます。これにより、感情に飲み込まれるのではなく、少し距離を置いて状況を客観的に見つめ直す手助けとなります。
- 回復力(レジリエンス)を高める 感謝の気持ちを持つ習慣は、困難な状況から立ち直る力、つまりレジリエンスを高めると言われています。すべてが完璧でなくても、感謝できる側面があることに気づくことで、「大丈夫、ここからまた頑張ろう」という前向きな気持ちを引き出しやすくなります。
うまくいかない時の感謝の記録、具体的なやり方
それでは、実際に受験勉強がうまくいかないと感じる時に、感謝の記録をどのように実践すれば良いのでしょうか。特別な準備は必要ありません。手元にあるノートやスマートフォンのメモ機能など、使いやすいもので始めてみましょう。
ステップ1: 今の気持ちを少しだけ言葉にする まず、今感じている「うまくいかない」という気持ちを率直に書いてみましょう。模試の結果が悪かった、今日の勉強が全く進まなかった、など、具体的な出来事でも構いません。ただし、ネガティブな感情に深入りしすぎず、「今、私はこう感じているんだな」と確認する程度に留めます。
ステップ2: 小さな「感謝できること」を探す ここが最も重要なステップです。今の状況の中で、どんなに小さくても良いので、感謝できること、ありがたいと思えることを意識的に探して書き出します。
- 例えば、「模試の結果が悪かった」なら…
- 今の自分の課題が明確になったことに感謝(次にやるべきことが分かった)
- 体調を崩さずに模試を受けられたことに感謝
- 解説授業や参考書があることに感謝(学び直せる)
- 結果を受け止める勇気を持てた自分に感謝
- 「今日の勉強が進まなかった」なら…
- 勉強机に向かうことができた時間に感謝(始める一歩を踏み出せた)
- 少しでもテキストを開いたことに感謝
- 眠かったけれど休憩できたことに感謝(自分を労われた)
- 次に同じことを繰り返さないための学びを得たことに感謝
- その他、どんな状況でも共通して見つけやすい感謝の例
- 健康であること
- 勉強できる環境があること(家、図書館、学校など)
- 家族が食事を作ってくれたり、支えてくれたりすること
- 友達と少し話して気持ちが紛れたこと
- お気に入りの飲み物でリラックスできたこと
- 当たり前だと思っていた日常があること
どんなに小さなことでも構いません。「〇〇があったことに感謝」「△△ができたことに感謝」のように、具体的に書き出してみましょう。
ステップ3: 気づきや次への一歩を書き添える(任意) 感謝できることを見つけたことで、今の状況について何か新しい気づきがあったかもしれません。あるいは、「明日からこうしてみよう」という小さな行動目標が見えたかもしれません。もしあれば、それも書き加えてみましょう。書くことで、ネガティブな状況を乗り越えるための具体的なアクションに繋がりやすくなります。
この一連のプロセスは、数分間で完了できます。疲れている時や落ち込んでいる時でも、短い時間で気持ちを切り替える手助けになるはずです。
他の受験生はこう活用した:リアルな体験談
感謝の記録が「うまくいかない時」に力になったという受験生の声を聞いてみましょう。
- Aさんのケース(模試の判定が悪くて落ち込んだ時) 「第一志望の模試の判定がE判定でした。正直、もう無理かなって思って、勉強に手がつかなくなりました。でも、ダメ元で感謝ノートに『模試を受けられたこと』『会場まで行けたこと』『問題を見て、自分の弱点に気づけたこと』を書き出してみたんです。そうしたら、『まだ時間はゼロじゃない』『やるべきことはハッキリした』と思えてきて、解説を読み直す気になれました。判定は悪かったけど、この結果があったからこそ、次に繋げられるって思えるようになったんです。」
- Bさんのケース(苦手科目の勉強が進まない時) 「数学が本当に苦手で、問題集を見ても全然頭に入ってこない日が続きました。『自分には才能がないんだ』って諦めそうになった時、感謝ノートに『今日の数学の勉強で、このページだけは読み終えた』『全く分からなかった定理の、最初の部分だけは先生の説明を思い出せた』みたいに、本当に些細な『できたこと』や『助けになったこと』を書き出しました。完璧じゃなくても、ちょっとずつ進めている自分を認められたら、明日も少しだけ頑張ってみよう、と思えるようになりました。全部を一度に理解しようとしない、という学びに感謝、と書いたこともあります。」
- Cさんのケース(計画通りに勉強が進まなかった週の終わりに) 「今週は目標の半分も勉強できませんでした。自己嫌悪でいっぱいでしたが、感謝ノートに『体調を崩さずに過ごせたこと』『寝坊しなかったこと』『家族が応援してくれたこと』など、勉強以外の感謝できることをたくさん書きました。それから、『計画通りにはいかなかったけど、このテキストだけは終わらせた』とか、『移動時間で単語を覚えた』とか、できたことにも目を向けました。完璧な一週間じゃなかったけど、ゼロではなかった、自分には支えがある、と思えたら、来週また頑張ろうって素直に思えました。」
これらの体験談からも分かるように、感謝の記録は、困難な状況そのものを一瞬で解決する魔法ではありません。しかし、ネガティブな感情に囚われず、今あるものやできたことに目を向け、前向きな一歩を踏み出すための心の準備を整える手助けとなります。
感謝の記録を、困難を乗り越える「手段」に
感謝の記録は、単なる精神論で終わるものではありません。うまくいかない時に感謝できる点を探すという行為は、問題解決のための「思考の柔軟性」を養い、次の行動へのエネルギーを生み出す具体的な「手段」となり得ます。
受験勉強は長期戦です。常に最高のパフォーマンスを維持することは難しいでしょう。成績が伸び悩む時、計画が遅れる時、不安に押しつぶされそうになる時、そんな「うまくいかない時」にこそ、立ち止まって感謝の記録をつけてみてください。
それは、あなたの頑張りを認め、周りの支えに気づき、そしてまた前を向くための、静かで力強い時間となるはずです。感謝の力で、困難を乗り越え、受験勉強を成功へと導いていきましょう。