毎日の「ありがとう」が受験勉強の力になる。小さな感謝を見つける練習
受験勉強中のあなたへ:見過ごしがちな「当たり前」の価値
大学受験に向けて日々努力を重ねていることと思います。時には計画通りに進まなかったり、周りの友達の成績が気になったりして、焦りや不安を感じることもあるかもしれません。モチベーションが上がらず、勉強机に向かうのがつらくなる日もあるでしょう。
このようなプレッシャーの中で、私たちはつい「持っていないもの」や「できていないこと」にばかり目を向けがちになります。それは当然の心理反応ですが、同時に、今すでに「持っているもの」や「できていること」、そして周りにある「当たり前」の幸せや支えが見えにくくなってしまうこともあります。
「小さな感謝」がなぜ受験勉強の助けになるのか
実は、この見過ごしがちな「当たり前」の中に感謝を見つけ、それを記録することが、あなたの受験勉強を続けるための大きな力になることがあります。感謝の記録は、単なるおまじないや精神論ではありません。心理学の研究でも、感謝の習慣が人の幸福感や精神的な回復力を高めることが示されています。
受験期に「小さな感謝」を見つけることが役立つ理由はいくつかあります。
- 視野が広がる: 目の前の勉強や目標達成に集中することは大切ですが、それだけでは視野が狭まり、息苦しさを感じることがあります。小さな感謝を見つけることは、意識を自分の内側や困難から外に向け、世界が自分だけではないことに気づかせてくれます。
- ポジティブな感情が増える: 感謝を感じるたびに、私たちの心にはポジティブな感情が生まれます。これらの小さなポジティブな感情は、ネガティブな感情の力に対抗し、気持ちを前向きに保つのを助けてくれます。
- ストレスや不安が軽減される: 感謝は、ストレスホルモンの分泌を抑える効果があると言われています。日々の小さな良い点に気づくことで、「全てがうまくいかないわけではない」と感じ、不安を和らげることができます。
- 自己肯定感が高まる: 自分自身や自分のいる環境、支えてくれる人々への感謝は、「自分は恵まれている」「自分には価値がある」という感覚に繋がります。これは、成績や模試の結果に一喜一憂しがちな受験期において、自己肯定感を保つ上で非常に重要です。
毎日の「ありがとう」を見つける練習
では、具体的にどのようにして「小さな感謝」を見つける練習をすれば良いのでしょうか。特別なことである必要はありません。
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対象を意識する:
- 自分自身へ: 今日も勉強に取り組めたこと、昨日の自分より少しでも前に進めたこと、体調が良いことなど。
- 他人へ: 家族がご飯を作ってくれたこと、友達が励ましてくれたこと、先生が質問に答えてくれたこと、公共交通機関が時間通りに来たことなど。
- 環境へ: 勉強できる静かな場所があること、暖かい部屋で過ごせること、教材があること、インターネットで情報が得られること、晴れて気持ちが良いことなど。
- 出来事へ: 集中して勉強できた時間があったこと、難しい問題が解けたこと、美味しいものを食べられたこと、休憩中に好きな音楽を聴けたこと、ぐっすり眠れたことなど。
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記録する習慣をつける:
- 寝る前に1〜3つ、「今日あった感謝できること」を思い浮かべて書き出す。
- 勉強の休憩時間を利用して、直前に感謝できること(例えば「ここまで集中できた」や「この教材があって助かる」)を書き出す。
- スマートフォンのメモアプリや、小さなノートを使って、思いついた時にさっと記録する。
- 形式にこだわる必要はありません。「〇〇に感謝」「〇〇ありがとう」といった短い言葉でも十分です。
最初は「そんなこと?」と思うようなことかもしれません。しかし、続けていくうちに、今まで当たり前だと思っていたことの中に、いかに多くの支えや恵みがあるかに気づけるようになります。
体験談:感謝の記録で視野が広がった受験生
ある高校3年生のAさんは、志望校合格に向けて毎日必死に勉強していました。しかし、思うように成績が伸びず、友達が先に過去問で高い点を取っているのを見て、強い焦りや不安を感じていました。次第に「自分は何をやってもダメだ」と自己嫌悪に陥り、勉強への集中力も落ちていきました。
そんな時、Aさんは担任の先生から感謝の記録について勧められました。最初は半信半疑でしたが、「寝る前に3つだけ、今日あった感謝できること」を書き出すことにしました。
最初のうちは「ご飯が食べられた」「眠れた」といった当たり前のことしか思いつきませんでした。しかし、数週間続けるうちに、「母が夜食を作ってくれた」「友達が休み時間に面白い話をしてくれた」「苦手な数学の解説動画が分かりやすかった」「今日図書館の席に座れた」など、具体的な出来事に目を向けられるようになりました。
感謝の記録を続ける中で、Aさんは「自分は一人で戦っているわけではない」「見えないところでたくさんの人に支えられている」と感じるようになりました。模試の結果が悪くても、「それでも今日、勉強に取り組める体と環境がある」という当たり前に感謝することで、過度に落ち込むことが減りました。
「小さな感謝」を見つける習慣ができたことで、Aさんは以前より冷静に自分自身や周囲を見られるようになり、焦りが和らぎました。感謝の記録そのものが直接成績を上げるわけではありませんが、精神的な安定と前向きな気持ちが保てるようになり、結果として勉強に集中できる時間が増え、最終的に目標に向かって最後まで走りきることができたそうです。
続けるための小さなヒント
「小さな感謝」を見つける練習は、最初はやっかいに感じるかもしれません。しかし、継続することで必ず効果を実感できるはずです。
- 完璧を目指さない: 毎日できなくても大丈夫です。できる時に、できる範囲でやってみましょう。
- 書き方にこだわらない: きれいな字である必要も、長い文章である必要もありません。自分だけが分かれば十分です。
- ハードルを下げる: 「1つだけ」でも良いというルールにするなど、とにかく始めること、続けることを優先しましょう。
- 見返してみる: 定期的に自分が書いた感謝の記録を見返してみましょう。自分が多くのものに囲まれ、支えられていることを改めて実感できます。
感謝の力で受験を乗り越える
受験勉強は、学力だけでなく、心の強さも試される期間です。計画通りにいかないこと、不安になることは誰にでもあります。そんな時、「小さな感謝」を見つける習慣は、あなたの心を支え、前を向くための羅針盤となるでしょう。
日々の「ありがとう」に気づき、それを記録する練習を始めてみませんか。きっと、受験という長い道のりを歩む上での、あなたの力強い味方になってくれるはずです。最後まで諦めず、目標に向かって進んでいきましょう。